ご挨拶
日本健康教育学会
理事長 衞藤 隆
TAKASHI ETO 21世紀初頭は2001年のアメリカ同時多発テロ事件やそれに引き続くアフガニスタン紛争、イラク戦争、2008年のリーマン・ショックに引き続く世界的な金融危機などが起こり、決して安寧な10年ではありませんでした。さらに2011年3月11日の東日本大震災はわが国災害史上未曾有の被害を東北地方、関東地方の太平洋沿岸を中心にもたらしました。地震、津波、原子力発電所事故など人々の日々の生活を根底から揺るがす事態は、安全や健康について改めて問い直す機会となったといえます。さらに二次的にもたらされた環境の放射能汚染、計画停電、特定の食糧や医薬品供給の滞り等は広範な地域の人々にとって日々の生活の仕方を問い直す機会を与えました。
従来、先進国型の食事から摂取するカロリーの過多、運動不足、ストレス等が要因としてかかわり、様々な健康障害を引き起こす生活習慣病対策に焦点を当てた健康教育や健康増進活動に多くの関心が集まり、研究や実践活動が積み重ねられてきました。また、自殺、過労死、いじめ、不登校などが問題となるにしたがい、心の健康についても健康教育の立場から関心が払われてきました。
これらに加えて、今後考えていかなくてはならないことがあると思います。今回の大震災にて被災された方々への心身の健康を支援する長期的な取り組みの重要性が専門家から指摘され始めており、本学会としては健康教育とヘルスプロモーションの立場から、これらの基礎となる調査研究や理論構築など、学術面からの支援と貢献を考える必要があると認識しております。
どのような時代においても、私たちの生活を充実させ、私たち自身が抱く願いを豊かにするための要素として健康と安全はかけがえのない存在です。全ての人は健康と安全について追求する権利があります。それは、例え心身の状態に不便さ、不自由さがあったとしてもしかりです。
人々が健康であり、将来もそうありたいことを具体的に保証していくために実行する内容の基盤となる考え方を学問的に追究し、それらを人々に教え広めることが大切です。学校、家庭、地域、職域等において健康の意義と実践についての教育を展開するための学術的基盤を整え、提供する方法を検討する必要があります。日本健康教育学会とはそのような役割を担うべく組織された学術団体です。科学的根拠のある研究、倫理的な問題の検討、普及啓発のための具体的方法の開発、等々様々な研究が行われています。
研究の成果は年に1回開催される年次学術大会で発表されたり、討論されたりします。また、定期的な学術刊行物として「日本健康教育学会誌」が年4回発行されています。
保健、栄養、医学・医療、福祉、教育、行政、法律、その他幅広い分野の方々のご参加をお待ちいたしております。
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