日本健康教育学会が考える

健康教育とは・ヘルスプロモーションとは

健康教育とは

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  •  健康教育とは,一人一人の人間が,自分自身や周りの人々の健康を管理し向上していけるように,その知識や価値観,スキルなどの資質や能力に対して,計画的に影響を及ぼす営みです。この営みは,学校,地域,産業などの様々な場面で,また,教諭,養護教諭,栄養教諭,医師,歯科医師,薬剤師,保健師,助産師,看護師,管理栄養士,栄養士,歯科衛生士などの様々な職種の人がかかわり,食事,運動,喫煙,ストレス,病気やけがなどの様々なテーマに関して行われます。
  •  健康教育は,単に健康について教える教育ではありません。なぜなら,健康は,学ぶことにも意義があるでしょうが,獲得することにより大きな意義があるからです。健康を獲得することはすべての人の基本的な権利といえますが,健康自体,それぞれの人の生き方と強く結びついています。したがって,他人から与えられるのではなく,自分自身で,あるいは自分たちで求め獲得することが基本となります。その意味で,健康教育には,医療処置や環境衛生などの教育以外の健康のための営みとは異なる大きな役割があるのです。
  •  現代において,健康教育は,その営みを政策立案や環境づくりにまで拡大したヘルスプロモーションと切り離しては語れなくなっています。日本健康教育学会は,それらに関する原理や内容,方法などに関して研究や実践研究を行う学会なのです。

 
 
 

ヘルスプロモーションとは

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    •  ヘルスプロモーションとは、世界保健機関によって「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし改善できるようにするプロセス」と定義されています。このプロセスを進めていくためには、健康教育によって「知識、価値観,スキルなどの資質や能力」を身につけることが重要です。
    • しかしながら、知識やスキルを用いても目的とする行動変容が起こりにくいことがあります。そこで、個人や小集団に直接アプローチするだけではなく、人々をとりまく社会環境の改善やそのための法規制の整備にも取り組むことが必要な場合があります。ヘルスプロモーションはこの点に注目し、健康的な公共政策や健康を支援する環境づくりをとりわけ重要ととらえています。
    •  ヘルスプロモーションの定義は健康改善だけを目的としているように読み取れます。しかしながら1986年に世界に向けてこの定義を発信したオタワ憲章は、「健康というのは日々の暮らしの資源の一つとしてとらえられるものであり、生きるための目的ではない」とも明言しています。たとえば糖尿病という「病い」があったとしても、その人はまだ多くの「健康」を体に宿しています。その持てる健康を使って、仕事をすることも日々の暮らしを楽しむことも可能です。言い換えれば、病気はなくならなくとも、今持っている健康を十分にいかしきって、よりよく生きることもまた重要であると、ヘルスプロモーションは示唆しているのです。
    •  日本健康教育学会は、健康教育とヘルスプロモーションの立場から、個人や社会が抱えている健康課題の解決策を教育ならびに環境面から研究し、その成果を現場での実践や政策化を通して社会に役立てることを目指した学会です。

会員の声

 
「健康教育とは・ヘルスプロモーションとは」について、会員からいただいたご意見をご紹介いたします。
皆様からのご意見は今後も受付ておりますので、日本健康教育学会事務局までお寄せ下さい。

会員の声1


 私見を投稿します。
 学会の健康教育およびヘルスプロモーションのステイトメントで、「知識および知恵」の伝達だけでなく「学ぶプロセス」を考慮している点、私は賛同します。私は、この「学ぶプロセス」は「般化(ordinary)プロセス」が大切と考えています。
 本人に身に着いていない好ましい健康行動が、本人の生活状況にあったように、好ましい健康行動を新たに獲得し、シェイプアップし定着させ、もうすでに自分では違和感なく身に着いているというプロセスを、私は考えています。今後も指導者および支援者は、知識・知恵の見え方・伝達方法の工夫も必要ですが、学習プロセスも加味していくことも必要と考えています。その方法は「人生が幸せ」と認識できるように「支援する仕組み作り」という考えに同調します。今後も健康を学ぶプロセスおよび仕組み作りを考えて行くことが必要と考えています。
 私は多くの指導者および支援者に、行動分析学的なアプローチから「行動の法則や原理」を学んでいただき、行動を変容させるための技法応用を願っています。


会員の声2


学生の立場から、まとめた考えを送らせていただきます。
私たちの考えは、以下の5点です。
また、これらの考えのもと、私たちでも1つの案をまとめました。

①「健康教育」と「ヘルスプロモーション」の位置づけ
 「健康教育」と「ヘルスプロモーション」をそれぞれ分けて書かれているので、この2つの言葉の位置づけがあるとより分かりやすいと思いました。
 私たちが考えた案では、ヘルスプロモーションの定義の後半に健康教育が重要な構成要素となっているという言葉を加えました。

②定義の文章の長さ
 論文等でこのような定義を引用する場合、長い文章よりも短い文章の方が、使いやすいと思います。
 詳しく説明する文章は必要だと思いますが、短いものもあると汎用性が高いと考えます。
 私たちが考えた案では、それぞれの定義をHPの文章から抜き出し、少々言葉を変えて、100字程度にまとめました。

③語句について
 一般的に聞きなれない言葉があると、理解がされない場合があると思います。
 多くの人に理解してもらいたいと考えると、少し難しい部分があると感じました。例えば、「営み」や「プロセス」といった言葉が特に難しいと思います。

④図式化の提案
 ①とも関係しますが、2つの言葉を定義しているので、それらがどのような関係をもっているかなど、図式化することでより分かりやすいと思います。
 私たちは、「ecological model」を参考に図を作成しました。
 teigi_zu.pdf(PDF105KB)

⑤日本健康教育学会の定義
 HPに書かれている文章にも、最後の方に学会の説明がありました。
 この文章をもとに、学会を定義する文章を冒頭に置き、「健康教育」、「ヘルスプロモーション」について定義すると、まとまりがよいと考えました。