ヘルスリテラシー研究会

33回日本健康教育学会学術大会 ヘルスリテラシー研究会企画

「デジタル社会におけるヘルスリテラシー」企画報告

2025年 7月 6日に、日本女子体育大学東烏山キャンパスで 2025年度ヘルスリテラシー研究会企画「デジタル社会におけるヘルスリテラシー」を開催しました。120名弱の方にご参加いただき、大変盛況な会となりました。

(前半)福田先生のミニレクチャー


話題提供①「国際学会からみたヘルスリテラシーの動向」
講師:福田 洋先生(順天堂大学大学院 医学研究科)

 
国際学会でもデジタルヘルスリテラシーがメインテーマとなっており、デジタルテクノロジーとヘルスケアの融合である「デジタルヘルス」を効果的に活用するための基盤であると認識されています。デジタル社会において、個人だけでなく組織(学校、職域、地域)を変革する資産となり得ますが、情報の信頼性評価や適用可能性の判断など、多角的なスキルが必要とされています。
話題提供②「デジタルヘルスリテラシーの評価法」
講師:宮脇 梨奈先生(明治大学 文学部)

(前半)宮脇先生のミニレクチャー


 
WHOのデジタルヘルスリテラシーの定義、「 Digital Health Literacy Instrument (DHLI)」の日本語版尺度を紹介しました。 DHLI6つのスキル(操作スキル、ナビゲーションスキル、情報検索スキル、情報評価スキル、コンテンツ投稿スキル、プライバシー保護スキル)を評価することができ、評価を通じて個人の改善点や集団の不足スキルを特定し、教育プログラムや啓発活動の計画、政策策定に役立てることができるとされています。  
(後半)フィッシュボールディスカッション
「各分野におけるデジタルヘルスリテラシー向上への取り組みと課題」

 

ファシリテーター:江口 泰正先生(健康教育推進研究所)
ディスカッサント :福田 洋先生 、宮脇 梨奈先生、上地 勝先生(茨城大学)、金森 悟先生(帝京大学)
サブディスカッサント :河嵜 唯衣先生(お茶の水女子大学)、大内 実結先生(大田区保健所)

今回は初の試みとして、フィッシュボールディスカッションの形式で議論を行いました。デジタル社会におけるヘルスリテラシー向上という喫緊の課題に対し、各分野(産業保健、学校教育、地域保健)の専門家がそれぞれの立場から現状と課題を共有し、活発な議論を行う貴重な機会となりました。技術の進歩が速く、評価指標や理論が追いつかない現状があるため、今後も各分野での実践と研究を連携させ、より効果的なヘルスリテラシー向上支援のあり方を模索していく必要があります。  
まとめ
事後のアンケートでは「情報通信技術等のさらなる進化によって、デジタルディバイドの解消に繋がることもあるのではないかという意見が自分にとっては新しかった」「今後も、社会的課題の投げかけや情報発信をしてほしい」というご意見や、「領域別、年代別のヘルスリテラシーの課題や解決策」をテーマとしたセミナーの要望がありました。ヘルスリテラシーの教育、研究に携わられている方や、これからヘルスリテラシーについて勉強したい方は、是非今後の勉強会や学術大会企画にご参加ください。