セミナー・シンポジウム報告
2021年度学会主催(学術委員会企画) セミナー報告
アクションリサーチセミナー(第3弾)
「アクションリサーチを報告するためのガイドライン」作成にむけたセミナー
2022年3月6日(日)13時~16時30分 Zoomを用いたオンラインセミナーとグループワーク
2022年3月6日(日)学会主催セミナーとして、学術委員会企画によるオンラインセミナーが開催され、34名の参加者(講師、学術委員会の委員などを含めると45名)が集まりました。本セミナーは、これまでのアクションリサーチに関するセミナーを受けて、学会として「アクションリサーチを報告するためのガイドライン」を作成するために、専門家からの意見とともに参加者とも意見交換することを目的として開催されました。
まず、武見ゆかり理事長の開会挨拶と、中村正和学術委員会委員長の趣旨説明が行われました。続けて、第1部では、福田吉治学術委員(帝京大学)からガイドライン案の紹介があり、その後、島津太一先生(国立がん研究センター)より「D&I科学の視点から」、佐藤美由紀先生(佐久大学)より「アクションリサーチャーの立場から」と題し、それぞれ講義とガイドライン案へのコメントをいただきました。
それらをうけて、第2部では、6つのブレイクアウトルームに分かれ、講義を聞いての感想とガイドライン案への意見を出し合うディスカッションが行われました。その議論の要旨は、第3部の全体討論において、各グループの記録係によりまとめられたパワーポイントを画面共有しながら、各グループのファシリテーター(学術委員)から報告されました。発表内容から各グループとも参加者の論文化や実践の経験をもとに、熱心な議論が行われたことが伺えました。その後、今回のガイドライン案の査読をお願いしている研究者の先生方(いずれも非会員)からの査読意見の紹介に続いて、査読者のひとりでありオブザーバー参加されていた芳賀博先生(佐久大学)からもコメントをいただきました。その後、全体討論に移りましたが、演者、参加者、学術委員会委員の間で活発な質疑や討論が行われました。
最後に、武見ゆかり理事長から、今後のガイドライン完成に向けた総括と中村正和学術委員長より閉会の挨拶がありました。学術委員会としては、本セミナーを受けて、「アクションリサーチを報告するためのガイドライン」を完成させ、2022年度本学会学術大会にて公表する予定です。本セミナーにご協力・ご参加くださいました多くの皆様に御礼を申し上げます。
(学術委員 助友 裕子 記)
企画・運営:日本健康教育学会学術委員会
委員長:中村正和(理事・公益社団法人 地域医療振興協会)
委 員:上地 勝(茨城大学) 江口泰正(理事・産業医科大学) 岡浩一朗(理事・早稲田大学) 小橋 元 (理事・獨協医科大学)
助友裕子(理事・日本女子体育大学) 福田吉治(理事・帝京大学) 吉池信男(代議員・青森県立保健大学)
オブザーバー: 武見ゆかり(理事長・女子栄養大学) 村山伸子(監事・新潟県立大学)
2020年度学会主催(学術委員会企画) セミナー報告
ウィズコロナの健康教育・ヘルスプロモーションを考えるワークショップ
2021年1月24日(日)13時~16時30分 Zoomを用いたオンラインセミナーとグループワーク
2021年1月24日(日)に学会主催セミナーとして、学術委員会企画によるオンラインワークショップが開催されました。テーマは「ウイズコロナの健康教育・ヘルスプロモーションを考えるワークショップ」です。COVID-19の拡大と収束が見通せない状況の中、ウイズコロナにおける健康教育・ヘルスプロモーションの役割や活動について、会員ならびに学会が考える機会とすることを目的としました。参加者48名のほか、発表者、ファシリテーター等を合わせて計67名が参加しました。
前半は、各分野において著名な講師(学術委員)による「新型コロナウイルス感染拡大に伴う健康状態・生活習慣への影響―国内外の研究動向」に関するリレー講演でした。
1)食生活: 武見ゆかり(女子栄養大学)
2)身体活動: 岡 浩一朗(早稲田大学)
3)喫煙・飲酒: 中村正和(公益社団法人 地域医療振興協会)
4)メンタルヘルス・睡眠: 福田吉治(帝京大学)、助友裕子(日本女子体育大学)
5)妊婦への影響: 小橋 元 (独協医科大学)
6)子どもへの影響: 上地 勝 (茨城大学)
以上の順に、6名の講師が一人当たり約5分という短時間でリレー講演を行い、各分野の最新の情報を提供してもらいました。発表時間は短かったものの、要点がまとめられており、実践や研究活動に示唆が得られる内容でした。
後半は、参加者がそれぞれ異なる6つのテーマのブレークアウトルームに分かれ、各グループでファシリテーターの進行によるグループワークを実践しました。各グループの話題提供者とテーマ、担当したファシリテーター(括弧内)は以下の通りです。
1)帝京大学大学院 公衆衛生学研究科 金森 悟 氏
「多職種産業保健スタッフの研究会によるCOVID-19関連夏季セミナーの開催報告」(福田吉治)
2)帝京大学大学院 公衆衛生学研究科 仮屋 茜 氏、崎坂香屋子氏
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陽性者・軽症者のメンタルヘルスとSNSを通じたピアサポート」(岡 浩一朗)
3)清和大学 谷木龍男氏
「コロナ禍における大学新入生を対象とするオンライン自律訓練法講習会の効果」(助友裕子)
4)フードバンク山梨 理事長 米山けい子氏
「コロナ禍における生活が困難な世帯の食を社会で支えるしくみづくり」(村山伸子)
5)座間市立旭小学校教諭 川上亜美氏、横浜国立大学 物部博文氏、梅澤秋久氏
「コロナ禍における保健と体育を関連させたプロジェクト学習」(上地 勝)
6)地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター研究員 川畑輝子氏
「コロナ禍での生活習慣病とフレイル予防 ―村民健康チャレンジの試み―」(中村正和)
各グループにおいて、まず話題提供者から約15分で実践報告をしてもらい、質疑討論を行いました。その後、各グループで議論し合った内容を全体で共有し、意見交換をしました。これらを通じて、担当者の思いやこころざし、実践現場での苦労話や工夫などが共有され、さまざまな角度からウイズコロナの健康教育・ヘルスプロモーションを考える機会となりました。
このワークショップは、学会としては初めてのオンラインでの開催となりましたが、終了後のアンケートにおいて、95.7%の参加者から「とても良かった」「良かった」との回答をいただきました。具体的な声として、「他グループの発表も詳細に聞け、情報共有の場が得られてありがたかった」、「色々な切り口での見聞を拡げる機会になった」などの感想をいただきました。また、「対面だと、声が聞こえにくい、机の隅に座ると参加しにくいなど、物理的な距離を感じることが多いが、オンラインはそれが解消されるように感じた」「移動時間や天候の影響を受けないためオンラインの良さを感じます」など、オンライン開催のメリットについての感想も多く寄せられました。一方で、「対面ならできる休憩時間中のあいさつや雑談がしづらいことはデメリットだと思います」などの意見もありました。今回の経験を生かして、新たな視点での充実したワークショップやセミナーの開催に向けて学会としても挑戦して参りたいと思います。当日の内容をとりまとめ、追って学会誌の特別報告として掲載予定です。
(学術委員 江口泰正、吉池信男 記)
企画・運営:日本健康教育学会学術委員会
委員長:中村正和(理事・公益社団法人 地域医療振興協会)
委 員:上地 勝(茨城大学) 江口泰正(理事・産業医科大学) 岡浩一朗(理事・早稲田大学) 小橋 元 (理事・獨協医科大学)
助友裕子(理事・日本女子体育大学) 福田吉治(理事・帝京大学) 吉池信男(代議員・青森県立保健大学)
オブザーバー: 武見ゆかり(理事長・女子栄養大学) 村山伸子(監事・新潟県立大学)
2019年度学会主催セミナー報告
アクションリサーチセミナー第2弾
アクションリサーチを論文にするワークショップ
2020年2月2日(日)10時~15時 女子栄養大学 駒込キャンパス小講堂
中村正和学術委員長2020年2月2日(日)女子栄養大学駒込キャンパス小講堂にて、学会主催セミナー「アクションリサーチを論文にするセミナー」が開催され、37名の参加者が集まりました。本セミナーは、2019年1月と2019年11月に開催したアクションリサーチに関するセミナーを受けて、アクションリサーチを実施している方や論文化したいと考えている方等を対象にしたものです。
中村正和学術委員会委員長の開会挨拶、福田吉治学術委員(帝京大学)の趣意説明の後、上地勝学術委員(茨城大学)、江口泰正学術委員(産業医科大学)、吉池信男学術委員(青森県立保健大学)より、それぞれ学校、産業、地域を対象にしたアクションリサーチに関する論文の紹介があった。さらに、助友裕子委員(日本女子体育大学)よりアクションリサーチ論文化の体験談の講義があった。
グループワーク会場の様子それらをうけて、「アクションリサーチの論文作成にあたっての困りごとや疑問は?」と「普通の論文とアクションリサーチの論文はどこがどう違うのか?」をテーマに、6つのグループでディスカッションを行った。グループディスカッションは、学校、地域、職域に分かれ、それぞれの立場から熱心な議論が行われた。各グループからの発表の後、倫理審査、通常の論文との違い、オリジナリティなど、主にグループで共通して出された課題について、参加者と学術委員とで総合討議を行った。
その後、武見ゆかり理事長(女子栄養大学)と中村委員長より総括と閉会の挨拶があり、最後に、吉池委員から、7月の学術大会機会での関連行事に関する予告があった。学術委員会として、本セミナーを受けて、アクションリサーチを論文化するためのガイドライン(案)を検討する予定である。本セミナーにご協力・ご参加くださいました多くの皆様に御礼を申し上げます。
2019年度学会主催セミナー報告
アクションリサーチセミナー第2弾
アクションリサーチ入門 -実践家のためのアドボカシー講座(第2弾)-
2019年11月10日(日)10時~12時 帝京大学 板橋キャンパス大学棟本館209 教室
2019年11月10日(日)帝京大学板橋キャンパス大学棟本館209教室にて、学会主催セミナー「アクションリサーチ入門-実践家のためのアドボカシー講座(第2弾)-」が開催され、72名の参加者が集まりました。本セミナーは、好評を博した2019年1月実施セミナー参加者の多様なニーズにこたえるため、まずはアクションリサーチの理論や方法を学ぶ入門編として企画されたものです。
中村正和学術委員会委員長の開会挨拶の後に、上地勝学術委員(茨城大学)と助友裕子学術委員(日本女子体育大学)を総合司会として、芳賀博氏(桜美林大学大学院教授)より「住民主体の活動を促すアクションリサーチ」と題した講演が行われました。
芳賀氏の講演では、健康日本21をはじめとする国や自治体の健康政策の中で、住民主体の地域づくり・まちづくりへの期待が高まっていることに触れた後に、これまでの実証研究の限界を受けて登場したアクションリサーチの特徴や定義、類型などについて紹介をしていただきました。さらに、アクションリサーチのデータ収集や分析といった具体的な研究方法について、事例を使って解説していただきました。その後の質疑応答では、倫理審査や研究費の申請のタイミング、論文化する際の視点、研究対象の主体性や研究者との関わり方などについてフロアから発言がありました。
その後、吉池信男学術委員(青森県立保健大学)から、次年度学術大会に向けた予告を交えての総括が行われた後に、福田吉治学術委員(帝京大学)から、年明け2月2日(日)に行われる第3弾セミナーの周知とともに閉会の挨拶をもって好評のうちに終了いたしました。本セミナーにご協力・ご参加くださいました多くの皆様に御礼を申し上げます。
(学術委員 助友裕子 記)
2018年度学会主催セミナー報告
「アクションリサーチの理論と実際」-実践家のためのアドボカシー講座
2019年1月27日(日)10時~16時 女子栄養大学駒込キャンパス香川綾記念生涯学習センター
基調講演:齊藤恭平氏
2019年1月27日(日)女子栄養大学駒込キャンパス香川綾記念生涯学習センター3階センター講義室にて、学会主催セミナー「アクションリサーチの理論と実際-実践家のためのアドボカシー講座-」が開催され、当初予定していた60名定員を大幅に超える90名の参加者が集まりました。本セミナーは、アクションリサーチの理論や方法を学ぶとともに、具体的なテーマごとに事例検討を通して研究の手法やプロセスについて理解を深め、今後の活動に役立てることをねらいとして行われました。
午前の部では、中村正和学術委員会委員長の開会挨拶の後に、江口泰正理事・学術委員(産業医科大学)と上地勝学術委員(茨城大学)を総合司会として、齊藤恭平氏(東洋大学教授)より地域の健康づくりにおけるアクションリサーチの可能性についての基調講演が行われ、助友裕子理事・学術委員(日本女子体育大学)よりヘルスプロモーション活動におけるアクションリサーチについての指定発言がありました。その後の質疑応答では、研究倫理申請や研究費獲得に向けた工夫点などについてフロアから発言がありました。
午後の部では、分科会と全体会が行われました。まず、事例検討を通じてアクションリサーチを味わうことを趣旨として、8~15名のグループに分かれ、以下のようなテーマでラウンドテーブル型の分科会が行われました。
<分科会テーマ/世話人>
食・栄養/吉池信男理事・学術委員(青森県立保健大学)
学校におけるヘルスリテラシー/上地勝学術委員(茨城大学)
地域・職域におけるヘルスリテラシー/江口泰正理事・学術委員(産業医科大学)
たばこ/中村正和常任理事・学術委員会委員長(地域医療振興協会)
母子保健・性教育/小橋元理事・学術委員(獨協医科大学)
がん教育/助友裕子理事・学術委員(日本女子体育大学)
介護予防/野藤悠氏(地域医療振興協会)
健康格差/村山伸子監事・学術委員会オブザーバー(新潟県立大学)
その後の全体会は、参加者数の大幅増にともない、当初予定していたワールドカフェ・ジグソー法ではなく、各分科会でまとめられた模造紙を用いて世話人からの口頭報告が中心となりましたが、川田智恵子名誉会員、足立己幸名誉会員からのご発言もあり、活発な意見交換が行われました。全体会の最後に吉池信男理事・学術委員からの総括があり、神馬正峰理事長(東京大学)からの閉会の挨拶をもって好評のうちに終了いたしました。長時間にわたりまして多くの皆様のご協力をいただき、誠にありがとうございました。
2017年度学会主催セミナー報告
健康経営アドボカシーの実践ワークショップ
~大企業の健康経営の経験を中小企業の健康経営にどう活かすか?~
2018年1月21日(日)13時~16時30分 順天堂大学10号館カンファレンスルーム
2018年1月21日(日)順天堂大学10号館105カンファレンスルームにて,学会主催セミナー「健康経営アドボカシーの実践ワークショップ~大企業の健康経営の経験を中小企業の健康経営にどう活かすか?~」が開催され,83名が参加しました.今回ワークショップでは,健康経営の具体例と成功例を提供し,より多くの参加者の中小企業の健康経営に関する具体的な進め方を学ぶ機会を提供することを目的に行われました.
前半は,神馬征峰理事長の開会挨拶の後に,春山康夫理事・学術委員会委員長(獨協医科大学)を総合司会として,福田洋理事(順天堂大学)より健康経営の現状と最新動向についての基調講演が行った.その後,江口泰正学術委員会委員(産業医科大学)を司会として,健康経営を導入する3つの企業から以下のような実践報告がありました.
1.産業保健活動の推進を土台とした健康経営」/金森悟氏(伊藤忠テクノソリューションズ㈱保健師)
2.「企業風土に根付いた健康づくり活動の推進/楠本真理氏(三井化学㈱保健師)
3.「中小企業担当者へのインタビューで見えてきたこと」/白田千佳子氏(協会けんぽ千葉支部保健師)
後半は,事前に配布した質問票に記載された内容による全体ディスカッションを行い,活発な意見交換が行われました.最後には,武見ゆかり理事(女子栄養大学)からの総評の挨拶があり,好評のうちに閉会いたしました.
2016年度学会主催ワークショップ 報告
健康課題の解決に向けたアドボカシースキル向上セミナー(第3弾)
ワークを通じてエビデンスを政策につなげるためのアドボカシースキルを実践的に高めよう!
2017年2月5日(日)10時~16時 女子栄養大学駒込キャンパス小講堂
2017年2月5日(日)女子栄養大学駒込キャンパスにて,学会主催ワークショップ「健康課題の解決に向けたアドボカシースキル向上セミナー(第3弾)」が開催され,約70名が参加しました.今回の第3弾では,昨年紹介されたシルトン教授の「効果的なアドボカシー推進のための6つのアクションのワークシート」を用いて,学校保健(食育),歯科保健(特定健診の活用),地域包括ケア,特定健診の受診率向上,産業保健(健康経営),健康情報発信のあり方などの実際的な局面でのアドボカシースキルを身につけることを目的に行われました.
前半は,中村正和理事(地域医療振興協会)を総合司会として、春山康夫理事・学術委員会委員長(獨協医科大学)からセミナーの経緯と狙いについて解説があり,神馬征峰理事長(東京大学)からアドボカシーについての教育講演,江川賢一学術委員会委員(早稲田大学)からは,シルトン教授のワークシートを使ったグループワークの進め方について説明がありました.その後,8〜10人程度のトピック別のグループに分かれ,2時間程度のワークが行われました.最後には,各グループからの発表と講師の先生方のコメント,武見ゆかり理事(女子栄養大学)からの総評の挨拶があり,好評のうちに閉会いたしました.
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2015年度学会主催ワークショップ 報告
Developing skills for mobilizing advocacy for health promotion approaches to non-communicable disease prevention: from evidence to influence
NCD予防に向けたヘルスプロモーションアプローチのためアドボカシー(政策提言)スキル向上セミナー:エビデンスから影響力へ
2016年2月21日東京大学医学部総合中央館(医学図書館)3 階 333 号室
2016年2月21日(日)東京大学医学部キャンパスにて,学会主催ワークショップ「NCD予防に向けたヘルスプロモーションアプローチのためアドボカシー(政策提言)スキル向上セミナー:エビデンスから影響力へ」を開催いたしました.昨年度実施したセミナー「研究・実践からアドボカシー(政策提言)へ」では,多くの参加者から好評をいただき,アドボカシーに関する理論や具体的な手法を学べる機会がほしいといった声が多く寄せられました.そこで今回は,オーストラリアから,肥満,運動,禁煙,職域,学校などのヘルスプロモーションについて長年の実績と数多くの業績のあるTrevor Shilton 教授をお招きし,アドボカシーの基本的な手法の習得を目指したワークショップを行いました.参加者は68名(内,聴講のみ18名),大学や研究機関,自治体,企業など,さまざまな領域で研究・実践されている方が集まりました.
まず,Trevor Shilton 教授から,アドボカシーの定義や重要性,効果的なアドボカシーに必要な能力や技術,成功事例などについてご講演いただきました.続いて,アドボカシーを進める上で有効な戦略について,アドボカシーモデルを用いて説明していただいた後,7つのグループに分かれグループワークを行いました.各グループが選択した,身体活動,たばこ,栄養,アルコールのそれぞれの課題について,アドボカシーモデルの6つの手順に添ってワークが進められました.ワーク中は,ファシリテーターを中心に活発な意見が飛び合い,また,Shilton 教授からは,アドボカシーを進める上で鍵となる貴重なコメントをたくさんいただきました.最後には,各グループが短時間のワークの中で纏め上げたそれぞれのアドボカシーを発表し,大盛況のうちにワークショップが終了となりました.
引き続き本学会では,アドボカシーを推進し,議論を重ね,積極的にとりくみをすすめてまいります.今年度沖縄にて開催される第25回日本健康教育学会学術大会では,アドボカシーをテーマとしたラウンドテーブルを予定しています.皆様のご参加をお待ちしております.
- 関連論文(特別報告)
- アドボカシースキル向上セミナーの狙い 春山康夫,福田洋.日本健康教育学会誌. 24(2):100-101. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/24/2/24_100/_pdf
- Advocacy for non-communicable disease prevention —Building capacity in Japan Trevor SHILTON.日本健康教育学会誌. 24(2):102-117. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/24/2/24_102/_pdf
- アドボカシースキル向上セミナーの報告 ―若手の声― 町田 大輔,中村 彩希.日本健康教育学会誌. 24(2):118-123. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/24/2/24_118/_pdf
2014年度日本健康教育学会主催 学術委員会企画
セミナー「研究・実践からアドボカシー(政策提言)へ」報告
2015年1月25日女子栄養大学駒込キャンパス
2015年1月25日(日)女子栄養大学駒込キャンパスにて,学術委員会企画の学会主催セミナー「研究・実践からのアドボカシー(政策提言)へ」を開催しました.定員100名のところ,115名の参加者が集まり,アドボカシーについて学び,議論しました.
第1部では,神馬征峰氏(学会理事長・東京大学大学院),中村正和氏(理事・大阪がん循環器病予防センター),村山伸子氏(監事・新潟県立大学),福田洋氏(理事・順天堂大学医学部)から,グローバル,国,自治体,企業といった4つのレベルにおけるアドボカシーについて具体的な事例や経験を交えてご講演をいただきました.
第2部では,春山康夫氏(理事・学術委員長,獨協医科大学)と赤松利恵氏(理事・広報委員長,お茶の水女子大学)が司会となり,総合討論が行われました.特に,「学会としてどのようなアドボカシーができるか」というテーマでは,4人の講演者とフロアの活発な意見交換が行われました.今回のセミナーを通して,アドボカシーの定義といった基本的なことを学び,さらに学会に求められている役割について参加者のみなさんとともに議論しました.セミナーの詳細については、日本健康教育学会誌に特集号として掲載予定です.
- 関連論文(特別報告)
- なぜアドボカシーか? 春山康夫,赤松利恵.日本健康教育学会誌. 23(3):216-217. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/23/3/23_216/_pdf
- グローバルレベルのアドボカシー:エイズアドボカシーからの教訓 神馬征峰.日本健康教育学会誌. 23(3):218-223. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/23/3/23_218/_pdf
- 国レベルのアドボカシー:研究成果を活用したたばこ政策への提言 中村正和.日本健康教育学会誌. 23(3):224-230. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/23/3/23_224/_pdf
- 自治体レベルのアドボカシー:自治体との協働による 減塩政策立案のためのデータ分析と PDCA 村山伸子.日本健康教育学会誌. 23(3):231-236. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/23/3/23_231/_pdf
- 企業レベルのアドボカシー:産業保健活動から, ヘルシーカンパニー・健康経営への アドボカシー 福田洋.日本健康教育学会誌. 23(3):237-245. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/23/3/23_237/_pdf
-
学会からのアドボカシーに向けて
―アドボカシーへの原動力,その担い手と今後のあり方― 新保 みさ,角谷 雄哉,江口 泰正,中山 直子 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/23/3/23_246/_pdf - 若手の声 ―アドボカシーの視点を持った研究・実践活動のために― 角谷 雄哉,新保 みさ https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/23/3/23_251/_pdf ページトップへ
平成25年度日本健康教育学会主催 編集委員会企画
質的研究セミナー「質的アプローチを用いた研究手法 健康教育分野への適用」報告
2014年1月26日女子栄養大学駒込キャンパス
2014年1月26日(日)女子栄養大学駒込キャンパスにて,平成25年度の学会主催セミナーを開催しました.参加総数101名の参加者が集まり,質的研究について,学びました.
セミナー前半では,質的研究をご専門とされる,大阪大学准教授 大谷順子先生をお招きし,ご講演いただきました.量的研究との比較を通して,質的研究の概要をお話くださった後に,データのコーディングの方法や分析ソフトについて,研究の具体的方法についての説明がありました.セミナー後半では,グループディスカッションを通して,講演についてさらに聞きたい事や疑問点について,話し合いました.その後,神馬征峰編集委員長を交えて,グループからの質問を受ける形で,総合討論を行いました.
本学会誌でも質的研究の論文投稿が増えてきました.質的研究は,量的研究では見落とされがちな現象を捉える研究手法であり,実践現場と密接な関係にある健康教育やヘルスプロモーションの研究においては,意義のある研究手法です.今後さらに,質的研究の学習を深めていけるよう,学会として取り組んでいきたいと考えています.セミナーの内容は,今後,学会誌に掲載する予定です.詳細については,そちらをご参考ください.
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編集委員会企画「論文投稿・査読セミナー~初めての論文投稿~」報告
第22回学術大会2013.6.23千葉大学 ワークショップ4
写真1 第22 回日本健康教育学会学術大会の2日目に,編集委員会企画の論文査読セミナーが開催された.
32名の参加者があつまり,神馬編集委員長と編集委員の参加のもとで,セミナーが開始された(写真1).当初,神馬編集委員長より30分ほどのレクチャーの予定であったが,限られた時間でもあり,参加者からの質問に神馬編集委員長はじめ各委員がそれらの質問に対応して回答するという双方向の参加型のセミナーとなった.
趣旨説明の後,前後周囲の参加者3~4人ずつで,どのようなことが疑問であるかなど話し合ってもらい,話し合いで出た項目について,白板にそれぞれ板書してもらった(写真2).写真2
参加者からは,多くの質問が挙げられた.論文を書く上での心構えから,論文を書くためにどこから手をつけたらよいかや論文構成の比率,論文執筆スキルをどこで学べばよいかなどこれから論文を書こうとする初学者からの質問から,背景や考察,結果のまとめ方についてや対象数の問題など具体的な質問まで,さまざまな質問があげられた.
今回のセミナーで質問にあげられた項目については,現在ホームページ上に掲載されているQ&Aに追加していく予定であり,今後投稿論文を書く際には,参考にしていただけたら幸いである.論文投稿および審査の過程は書面でのやりとりのため,顔がみえない.今回のセミナーは,学会員と編集委員会のコミュニケーションの良い機会になった.より良い学会誌を目指し,今後も学会員との交流を大切にしたい.多くの投稿を期待している.(文責;中山直子)
論文投稿・査読セミナー(第2弾)報告
2012年1月27日女子栄養大学駒込キャンパス
平成25年1月27日、女子栄養大学駒込キャンパスにおいて,昨年度開催し好評を博した論文査読セミナーの第2弾を開催しました.参加者89名(正会員53名,学生会員11名,非会員25名)で,投稿者と査読者・編集委員のコミュニケーションの向上を図ることを目的としました.
第1部では査読者・編集委員を代表して,本学会誌編集委員会神馬委員長が論文投稿でよく指摘するポイントを講義しました.(パワーポイントはこちらPDF)
第2部では,参加者から論文執筆投稿に関する疑問をあげてもらうため,グループワークを実施し,その後,両者のコミュニケーションとして,全体討論を行いました.
①アブストラクト・緒言G ②方法G ③結果・図表G ④考察G ⑤実践報告G
さらに第22回日本健康教育学会学術大会(2013年6月23日,千葉大学)で論文投稿初心者向けのセミナーを開催する予定です.
論文投稿・査読セミナー(第1弾)報告
2011年1月21日女子栄養大学駒込キャンパス
1. 講義 「公衆衛生分野の学術誌における査読の質向上のポイント」
- 講師: 中村好一先生 (自治医科大学公衆衛生学教室 教授)
- 座長: 神馬征峰 (日本健康教育学会誌編集委員長)
2. 事例検討・議論
- 投稿論文の事例を示し,査読のポイントや著者への意見の示し方などについて,悩んだこと,迷ったことについて、ディスカッションを行った。第1部の講義内容もふまえ,健康教育・ヘルスプロモーションに関する研究と実践の両方を重視する本学会誌の投稿論文に求めるもの,学術誌としていつまでにどのレベルまでを目指していくかなど中村好一先生にも参加していただき議論を行った。